教祖様の前に、子連れの女性が来ました。
「信者4649号よ。おまえの忠誠はどれぐらいだ?」
「もちろん、最高です」
「なら証明してみせろ。この政治家は教団の敵だから暗殺してこい」
「分かりました」
「失敗したらどうする」
「このみをささげます」
「よかろう、ではいけ」
そして女性は暗殺に失敗しました。
「教祖様。失敗したので約束通り、このみをささげます」
「なんだこの子供は」
「私の娘、このみちゃんです」
「おまえの身を捧げるんじゃないのかよ」
「誰がそんなことを言いました?」
「わし、ロリコンじゃないから子供は要らない。こいつは教祖を騙した罪で死刑」
「そんな!」
教団は今日も平和です。
(遠野秋彦・作 ©2022 TOHNO, Akihiko)